謹賀新年

viva_ars2007-01-01

謹賀新年
「論争がある、本当が見える」

 新年おめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い致します。
 都営地下鉄大江戸線新御徒町駅の壁に大きな看板があります。「主張を押しつける新聞はもういらない」そうだ同感だと思っていたら、その下に小さい字で「論争がある、本当が見える」と書いてあります。毎日新聞の広告でした。この言葉が心に重く響きました。私たちの「アルスの会」には「論争」が抜けています。今年の活動は、ここに力点をおきたいと思います。
 自由に論争をする機会を作りたい、そう思って始めたのに、いつの間にかその「論争」が抜けてしまっています。これまでは「アルス文庫」に力を入れてきました、論争を受け入れる態勢も整えてきたつもりですが。意見の提起が一方的で論争になっていなかったと反省しています。今年は「論争」をひき起こす企画を考えたいと思います。
 嘗ては激しい論争の下に研究環境を整える努力を重ねてきたのに、近頃は論争の必要がなくなったのか、論争をを避けようとしているのか、これでは「本当が見えない」研究・教育環境ができてしまいます。戦後半世紀の学術研究を育てた先輩研究者は論争好きでしたが、いわゆる団塊の世代から後の若手は論争が嫌いなのか、或は逃げているのかと思うのは私だけでしょうか? 先達が開いた研究環境が崩壊する危機を感じます。そこで今年は、この年代のギャップを埋める努力をしたいと思います。御協力下さい。(中井)

アルス文庫に下記のエッセイを新しく収録しました。
文 庫   タイトル
伊達宗行 科学新聞特集記事「科学者が語る自伝」(1)伊達家の歴史から仙台時代(PDF)]
伊達宗行 科学新聞特集記事「科学者が語る自伝」(2)阪大時代から原研先端研(PDF)]

 伊達宗行先生は、かつて「アルスへの回避」を提言しておられました。これが本会創始の動機の一つとなり会名を「アルスの会」とした理由です (本会ホームページのアルス・フォーラムNo.1を御覧下さい)。

 物理学会・学術会議・原研先端研など多くの場面で、伊達先生の広い素養と奥深い思慮に基づく強いリーダーシップに接する機会を得て感心し尊敬して来ましたが、ここに紹介する記事を拝見してその源を知る思いがしました。是非「アルス文庫」に掲載したいと考えて先生にお願いし、お許しをいただきました。転載について科学新聞社の許可も得ることが出来ましたので、新聞記事をスキャナーで読み取りそのまま掲載しました。戦後の廃墟から立ち上がって、世界のトップレベルに追いつき追い越した日本の学術研究を導いたリーダーのお一人の足跡をご覧下さい。 (中井)



 タイトルの青文字をクリックすると「アルス文庫」にリンクされて本文を見ることができます。

アルス文庫 (会友によるエッセイ・評論・論文集) について

 アルス文庫は、会友が政治的配慮・商業的効果などの障壁を意識しないで自由に意見等を公表できる機会を提供します。著作権については著者が責任をもって処理することとし、既に出版された物は著者の責任で確認してもらいます。

 アルス文庫に収納する論文・エッセイの投稿をおおいに歓迎します。その場合は、e-メイルで nakai@post.kek.jp にお送り下さい。採否は編集者が判断してご連絡致します。苦情に対しては3名以上の会友の判断を仰ぎます。