アルス文庫の紹介

アルス文庫に下記のエッセイを新しく収録しました。
文 庫  タイトル
尾立 晋祥 明治の科学技術輸入と日本語 :理大 科学フォーラム 2007.4

 科学の変革が進む時、そこで使われる新しい言葉が大切である。明治時代、日本に入って来た西洋の科学を受け入れるには言葉の問題があったに違いない。今では何ごともなく使われている言葉、例えば、数学では微分積分三角関数・指数関数などの言葉の一つ一つは誰がどのような機会に作ったのであろうか? 言葉が統一されなければ大変なことになったであろうと思う。明治の先達の努力に改めて感謝したい。
 今日の科学の著しい発展は、明治時代に似たものがある。欧米ばかりでなく日本の研究者までが欧米の言葉を使って新しい概念や手段に名前をつける。その結果カタカナが氾濫している。研究資金申請の書類や、近頃大流行の研究評価の報告書などにはカタカナが一杯である。カタカナで書くなら原語の横文字を使えば良いのに思う。ある会合の雑談中に、カタカナで書くと文章が長くなって申請書や報告書の文章を長くできるメリットがあると言う指摘があった。著作も長くできる。なるほどと思ったが困ったことである。
 もう一度、明治の先達がどのような努力を重ねたか調べてみたいと思っていたところ、すぐお隣りに居られる同僚の尾立さんがお書きになった解説が目に入った。早速、お願いして「アルス文庫」に掲載させていただいた。明治の理学教育の開拓には、東京大学と並んで東京理科大学の前身である東京物理学講習所 (数年後に物理学校と名を変えた) の諸先輩の努力が大きい。もっと広く、いろいろなことを調べたいと思っている。
例えば、「覚えうた」である。
 √2=1.41421356 (一夜一夜に人見ごろ)、 √3=1.7320508(人並みにおごれや)、 √5=2.23620679(富士山麓に鸚鵡鳴く)等である。
私は、円周率πを31 桁書くことができる。
 π= 3.141592653589793238462643383279 (産医師異国に向う産後厄なく産婦みゃしろに虫さんさん闇に泣く) 
こんなもの覚えても仕方がない円周率は3と覚えておくのが良い、という意見に私は賛成であるが、このような「覚えうた」を考えた人は誰なのか知りたいと思う。理科大の先輩ではないかと思っているが、ご存知の方はお教え下さい
 この他に元素記号や、イオン化傾向の「覚えうた」もあります。御協力下さい。   (中井)


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